リンダウ・ノーベル賞受賞者会議に参加して
2018年6月、日本学術振興会(JSPS)にご支援頂き、ドイツで開催された第68回 リンダウ・ノーベル受賞者会議(医学生理学)に参加しました。
この記事ではまず、その概要、選考プロセスについてお話したいと思います。
何するところなの?
ノーベル賞受賞者と若手研究者が、ドイツの田舎の美しい湖で、たっぷり一週間交流する。そういう会です。わざわざ若手研究者と話すために、ノーベル賞受賞者が各国から(ファーストクラスで)飛んできてくれます。ノーベル賞受賞者の話を聞くだけでなく、一緒に議論したり雑談もできます。ハイキングも食事もBBQもできちゃいます。
今回の第68回会議には39人の受賞者が参加してくださいました。参加者リストはこちら。通常なら、学会に一人でもノーベル賞受賞者が来ていたら大盛り上がりですが、この会議にはなんと約40人も…右を見ても左を見ても受賞者だらけ、という感じです。
若手研究者は84カ国から600人が推薦・選抜されて参加していました。JSPSのサポートで参加した日本人は11人。さすが各国から選ばれただけあって、みんなツワモノでした…業績の多さ・大きさ、熱意の強さに刺激を受けました。ノーベル賞受賞者との交流よりも、世界中から集まる若手ホープたちと交流することの方が長期的メリットは大きかったかもしれないです。
医学生理学賞、化学賞、物理学賞、これら3分野の合同、および経済学の計5カテゴリーあります。第68回会議は医学生理学の年でした。
誰が行けるの?選考プロセスは?
選考プロセスは各国によって、もしくはスポンサーによって異なります。日本人は主にJSPSから支援して頂くルートを取るので、ここではそれについて解説します。(※マリーキュリー財団からの支援で参加している日本人もいました。)
まず申請資格は募集要項にある通り、
(1)日本国籍を持つ者又は我が国に永住を許可されている外国人であって、申請時に我が 国の大学等学術研究機関等 *(以下、「国内の研究機関等」という。)又は海外の大学 等学術研究機関等(以下、「海外の研究機関等」という。)に所属し、本会からリンダ ウ・ノーベル賞受賞者会議評議会への推薦時に国内又は海外の研究機関等の博士課程学 生 **又はポスドク研究者(博士の学位取得後 5 年以内の者)であること。
(2)過去に本会議に参加したことがなく、会議開催時に 35 歳以下であること。
です。ちなみに申請資格は国やサポート団体によって変わります。ほかの国からの参加者には学部生や修士学生もいました。
JSPSからの支援で行く場合、選考プロセスは2段階になります。おおまかな流れはこちら。まずJSPSの選考に合格し、その後リンダウ・ノーベル受賞者会議本部の選考に通る必要があります。JSPSの申請が8月締め切りで、合否がだいたい10月中旬に分かります。受賞者会議本部の審査は11月下旬締め切りで、2月末に最終選考結果が通知されました。
JSPSの申請手続きはこちらに詳細があります。国内の研究機関等に所属する人と、海外の研究機関等に所属する人で申請手順が違うので要注意。海外の人はまず郵送で電子申請システム用のID・パスワードを発行しなくてはならず、とても時間がかかりました…なぜ郵送…。申請書は一般的なもので、特に苦労しなかったです。研究内容、業績、会議に参加する目的、英語での研究実績などを英語で書きます。推薦状は1通。たしかオンラインで提出できたはずです。(記憶があいまい…あとで確認してアップデートします。)
リンダウ・ノーベル受賞者会議本部の申請はオンラインでしたが、論文や学会の参加履歴を一つ一つマニュアルで記入しなくてはならず、非常に時間がかかりました…推薦状は2通提出できたので、JSPSに出したものともう1通付け加えました。
続きは
実際に行ってみた感想、ノーベル賞受賞者からのアドバイスなどはまた別の記事でご紹介したいと思います!